一章:子連れ強盗

第1話

「来るなぁあ!!来たらコイツば、殺すぞぉぉぉぉお!!!」




猟銃を人質に当てながら、声を荒げる強盗犯。




この強盗はちょっと普通の強盗とは違った、小さな赤ん坊を背中に背負い、スグ脇に、十歳前後の子供を携えている。強盗に二人の子供とは奇妙な取り合わせだ。




「何が目的だ!! そんな、乳飲み子を抱えて、強盗してたら、子供の教育上悪いぞ!!」




スピーカーを片手に必死で説得を試みようとするとする一人の警部。




「奥さんが悲しむぞ!!」




「け、警部、ダメです。それを言っちゃあ!」




「何を言ってる、説得の際、家族を引き合いに出すのは、常套句。なぁに、あんな野獣の様な奴だって人の子。家族を引き合いに出せば…」




そう言いながら、警部は必死で押さえようとする、部下を押さえ再びスピーカーを口に当て、声を張り上げる。




「その背中に抱えた子供達を産んだ母親が居るだろう。彼女の為にも、こんなバカな事は止めるんだ!!」




「け、警部ぅぅぅぅうううう!!」




「ほぅら、あんな野獣でも、お涙ちょうだい家族の絆はビシバシ効いてるぞ、動きが止まった。」




「ち、違うんですぅぅぅぅぅうう」

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