3.偶然

第3話

洋次がその場に近寄れず立ち尽くしていると、真奈美も洋次の存在にきづいたようだ、洋次の顔をみて、あからさまにいやそうな顔をする。だが、心中おだやかでない洋次を尻目に、すぐに視線を落とすと、携帯をいじり始める。




(真奈美のやつ、いつまでここにいるつもりなんだろうなぁ…)




ため息をつく洋次。いっこうにその場から立ち去る気配のない娘にやがてイライラと痺れを切らし始める洋次。と同時に変な動悸が出始める。




『女子高生とデート?さいってーーー!!!』




ただでさえ、空気のように娘にシカトをされているにもかかわらず、それに極端な軽蔑まで加わってしまったなら…父としての威厳もへったくれもない。




むろん、既に威厳なんかあったもんじゃあないのだが。今後の洋次に対する扱いが、これまでの非ではないものになるということだけは確かだ。洋次の額に脂汗が流れ落ちてくる。見知らぬ小娘への説教どころの話ではなくなってしまった。

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