2.女子高生

第2話

洋次はふと見つけたとある出会い系サイトの『女子高生』という四文字に惹かれ、一人の少女にメールを送りつけた。




女性から男性へと返信などめったに返ってこないという携帯の出会い系なのだが、奇跡的に返事が返ってきた。かくして、洋次は娘ほどの年の差のある小娘とメール交換を始めた。




返ってきた返信の文字を見つめつつ、思う。こんないい年した中年男とメール交換なんぞする小娘なんてのは、つくづくろくでもないと。これが自分の娘であったなら、張り倒してやるのに、そう思いめぐらしつつも、実際の洋次は娘になんらの注意もできていない。




仕事から帰れば、娘の部屋はもぬけの殻、妻いわく、友達の家に泊りがけで遊びに行ったという。




「ほんとは、男の家にでも泊まりこんでんじゃないか?」




とすら言えない。




例のろくでもない小娘からまたメールがやってきた。洋次に会いたいという。いよいよ援助交際か? 




そ知らぬ顔で会い、その場で説教してやるのも面白いな、などと洋次は意地悪く思ってみる。娘にできない分、そのとばっちりを食らわせようというのか? それゆえに、二人の初デートはあっさりと成立した。




いよいよ待ち合わせの日。あっさりと会いにこぎつけたせいか、しかしそれゆえに、この初デートは大いなる問題をはらんでいた。なんと、洋次は、待ち合わせ場所のオブジェの近くにタイミング悪く娘の真奈美の姿を見つけてしまったのだ。

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