1.朝の風景
第1話
朝はいつも娘のシカトから始まる。
「おはよう」の挨拶すらさせないあからさまなシカト。あまりにも短すぎるスカートにとても小娘とは思えぬ濃いバッチリメイク。これから夜のお勤めですか? と思わず突っ込みたくなる。
ダイエットを気にしてか、朝食は毎回抜いてコーヒーだけ、娘の体を気遣う母の愛情などマッタク意に介すこともなく。実に自己中、実に不健康、まったくもってすがすがしくない。
朝という時刻にこれほどまでに、似つかわしくない生き物がいるだろうか? これが、わが娘とは実に嘆かわしい。そうして、もっと嘆かわしいことに、それを注意すらできず容認してしまう私。
私は、娘の短すぎるスカートを注意することができない。まだ若く張りのあるみずみずしい肌に化粧の厚塗りなんて必要ないと注意することすらできない。
ボーイフレンドとは節度ある交際をなさいと、こんな肝心なことすら注意できない。娘との会話がなくなって早5年。こんなハズではなかったと思いつつも、仕事の忙しさにかまけ、何一つ打開できない私。
いや、私はただ逃げているのかもしれない。援助交際なんてそんなつもりはなかった。ただ、娘と同い年の子と話をしてみたかった。娘がナニを考えているのか知りたかった。
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