第72話

「生首みてーわらける」

赤いバンダナを頭に巻いた少年が一志を高く見下ろしながら、軽く腰を折り吹き出した。下田だ。

「ちょっとツラがいいからって、調子こいてっからだよ」

また別の少年が鼻でせせら笑う。一志を見下ろしつつ、少年は赤いトレーナーを身にまとっている。藤井だ。他三名ほどのギャングを残しただけで、辺りに人影はうせていた。

一志は頭一つを残し、工事現場の荒廃した地面に埋め立てられている。うなだれ顔は伏せているものの、顔面は度重なるリンチで無残にも腫れ上がっている。両手両足胴体、全てが土中に埋まり、身動き一つ取れない有様で、全てを諦めてしまったのか、一志は少年たちを恨めしげに睨み上げることすらない。

それでも抜け出そうと思うのか、時折肩を揺するそぶりを見せるも、立ち姿で深く深く埋められた一志。肩の付近の土がわずかばかり崩れ落ちるだけで、びくともしない。脇にはショベルカーが不気味に立ちそびえている。新たに追加される一志にかぶる人影。

「鷹山さんが言うように、ちょっとバールかバットでぶんなぐってりゃ、それでクリアなのに、チキン野郎はほんっとダメだな」

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