第72話
「生首みてーわらける」
赤いバンダナを頭に巻いた少年が一志を高く見下ろしながら、軽く腰を折り吹き出した。下田だ。
「ちょっとツラがいいからって、調子こいてっからだよ」
また別の少年が鼻でせせら笑う。一志を見下ろしつつ、少年は赤いトレーナーを身にまとっている。藤井だ。他三名ほどのギャングを残しただけで、辺りに人影はうせていた。
一志は頭一つを残し、工事現場の荒廃した地面に埋め立てられている。うなだれ顔は伏せているものの、顔面は度重なるリンチで無残にも腫れ上がっている。両手両足胴体、全てが土中に埋まり、身動き一つ取れない有様で、全てを諦めてしまったのか、一志は少年たちを恨めしげに睨み上げることすらない。
それでも抜け出そうと思うのか、時折肩を揺するそぶりを見せるも、立ち姿で深く深く埋められた一志。肩の付近の土がわずかばかり崩れ落ちるだけで、びくともしない。脇にはショベルカーが不気味に立ちそびえている。新たに追加される一志にかぶる人影。
「鷹山さんが言うように、ちょっとバールかバットでぶんなぐってりゃ、それでクリアなのに、チキン野郎はほんっとダメだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます