1-10.かっこ悪い

第67話

一方、鷹山の一言とともに、一斉に取り囲まれている一志。比較的新人のギャングばかりをかき集め、取り囲んだといった感じだ。どうやら一志の脱退の儀式と同時に、新人の割礼の儀式も行うつもりらしい。

「一志さん、ちょーーーーカッコ悪いっす。俺、あんたみたいなの大っ嫌いなんですよね?」

そう言って笑う。宇野田という男、鷹山にやけに買われている新人で、新人の割にパイプや角材を片手に、どんどん抗争のど真ん中に突っ込んでゆく勇猛果敢な男だ。

また一志とはまた異なったタイプのイケメンで、クールなマスクをしており、なかなかの面構えだ。その宇野田が背後にその他の新人一同をひきつれ、目を細め冷ややかに言い放つ。

「抗争一つできねーー! 奇襲もかけられねー! 役に立つのはナンパの時だけ。あんたギャングをナメてるでしょ?」

そう言うと、宇野田は一志の頬を右ストレートで殴る。切れた唇をぬぐいながら、

「ツラは殴らねぇんじゃねーのかよ?」

と一志。フットワーク軽くこぶしを構え、宇野田はいわくありげに笑う。

「今日は、鷹山さんから何の指示も出だされてませんから。やっと、あんたのツラをぶん殴れるかと思うと、わくわくしてますよ」

そう言うと

「っらぁ!」

ともう一発かます。再びキマる。キレのあるパンチ。殴られ突っ伏している一志の髪をわしづかみ、顔を覗き込む宇野田。顔面が次第に腫れ上がるサマを覗き見、サディスティックに口端をゆがめ笑う。

「いい面構えだぁ! そっちの方がずうっと男前ですよ」

しかし一志も負けてない。左頬の腫上がった顔面で無理やり笑顔を作り上げながらうそぶく。

「いやいや、どうしてなかなかお前もかなりの男前だぜ。なんなら、俺の後ガマに座らせてやろうか?」

一志の言葉に鼻でせせら笑う宇野田。

「ご遠慮させていただきますよ。ナンパ専門のギャングなんて、ダサすぎて!」

言葉尻をことさら強く、吐き捨てるように言い放つ。

「大体なんすか? その頭、金髪って。あんたギャングがなんたるかをわかってないでしょ?」

そこまで冷たく笑いながら言い放っていたかと思うと。突如声にドスを聞かせ、怒鳴りあげる宇野田。瞳がギラつく。

「本場のカラーギャングはなぁ! 黒人がやってん・だ・よ!」

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