第68話
言葉を言い終えるやいなや、腹に一発かます。腹を抱え、よろめきながらも一志。
「ああ、すまん、そいつは知らなかった」
「黒人が市民権を獲得するために、闘ってることも。生き延びるのに必死なことも、カラーギャングにヒップホップが深く関わってることも、どーせ、なーんにも知らねーんだろ、あんたはよぉ!」
「ピストル持ってか? この民主主義のニホンで市民権もくそもねーだろ! パイプを使うのはいくらなんでも横暴じゃねーのか? 殴ったら、いてーじゃねーか!」
と一志。更なる言葉を吐き続ける。
「大体、俺は争い事は好きじゃないし。みんな仲良くすればいいと思ってる。暴力も好きじゃない」
一志の言葉に首を左右にふり、やれやれといった態度で宇野田が笑う。
「一志さん、やっぱ、あんたこのチームにいらねーわ! 鷹山さんの言ったとーりだわ、ちょームカつくわ!」
「鷹山さん鷹山さんって、お前ホントは、鷹山の後ガマ狙ってんだろ?」
「……」
宇野田の表情が変わる。目を細める鷹山。
「図星か? だってお前、飲み屋のチーママみたいだもんな。チーママがママの座を狙わなくってどうするってか?」
はいつくばったままの一志が、笑いながら宇野田に投げつける、少し身を持ち上げながら。
一志の言葉に宇野田は一瞬顔をひきつらせ、しかしすぐに元のポーカーフェイスに戻すと、せせら笑う。
「あんた自分の立場わかってないでしょ? 六対一、どう闘っても俺の勝ち。俺に媚び売っとくべきでしたね」
口端をゆがめながら宇野田が言い放つ。
「あんたのお望み通り、パイプを使わないでいてあげますよ。素手でも余裕だし」
「たまたま持ってないだけの癖に」
宇野田の蹴りが一志に突き刺さる。
「また図星か?」
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