第65話

「「おお!」」

歓声があがる。つい今しがたまでの緊張がとけ、やがて周囲がざわめき始める。

「俺らが国内最強?」

「なんかカッコよくね?」

「どーせなら、一番がいいよな?」

「なんかすっげぇ! ドキドキしてきた!」

「まじかよ! 国内最強…」

周囲の賛同の声に気を良くした鷹山は、満足げに笑う。不敵な笑みだ。そして掲げたこぶしの親指をおったて、声を張る。

「チームの掟一、テーマカラーは赤。炎と流血の赤。どうだよカッコいいだろ、こんな調子で行くぜ! おら、復唱しろ!」

「「チームの掟一、テーマカラーは赤。炎と流血の赤!」」

復唱が終わると、続いて鷹山は親指を突き出したまま、人差し指をひらき二という数字を作る。

「チームの掟二、結束第一! 裏切りものは半殺す! 復唱だ!」

「「チームの掟二、結束第一! 裏切りものは半殺す!」」

「チームの掟三、抗争歓迎! 臆病ものは半殺す! おら! もっと腹に力入れろ! 腹から声を絞り出せ!」

「「チームの掟三、抗争歓迎! 臆病ものは半殺す!」」

徐々に鷹山の暗誦の声にドスがきき始め、大きくなってくる。身をひきしめてチームの連中が、自らのトップを見つめる。

「チームの掟四、トップの命令は絶対だ! 聞かねぇ奴は半殺す! そら!」

「「チームの掟四、トップの命令は絶対だ! 聞かねぇ奴は半殺す!」」

「チームの掟五、途中で抜け出そうなんざ、チキン野郎は半殺す!」

「「チームの掟五、途中で抜け出そうなんざ、チキン野郎は半殺す!」」

「そうだ、二度とそんなナメた口がきけないようにな! おら、一志のやろうが、脱退の儀式をお望みだそうだ! やれ!」

そう言って、鷹山は頬をすぼめ最後の一口を吸ったタバコを壇上に捨て、靴底でねじり消した。それを合図に、一斉に一志を取り囲む赤いギャングたち。

「こいつは見せしめだ。手ぇ抜くなよ。生まれ変わったチームの新ルールを定着させるためにもな、…きっちり半殺せ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る