第52話

「…もう、いいよ!」

これまでずっと、ただ押し黙って様相を見つめていた裕也が突然割って入る。そして叫ぶ。

「やめてくれ! 僕はもういいから!!」

そう目をつむり苦しげにうめく。奈央の両腕をゆっくりと解放する裕也。しかしその手を一向に止めようとせぬ一志。切り裂き終わった奈央の制服の切れ端を、両手でわしづかみ、裕也に向かい叫ぶ。

「お前がそんなこっただから、ナメられんだろ? テメーの人生終わらされてんだから、この女の人生もキッチリ終わらす、それが筋ってもんだろーが! このまま泣き寝入りしろってか?」

「もう、止めてくれ!」

裕也は必死で一志の腕にすがりつき、その手を止めようとする。しかし一志の腕により、激しく突き飛ばされてしまう。地面に投げ出され、呆然とした裕也に一志は叫び散らす。

「お前がよくても、俺は我慢なんねーよ!!」

そうして一志は再び奈央に向き合い、目を細めささやく。

「おい、死にな! てめぇの精神ぶっこわしてやる。今日からお前も晴れて俺たちの仲間入りだ…」

ナイフを奈央の横面の地面に突き刺し。ジーパンのジッパーを勢いよく下ろす一志。そして体を後にすべらしながら、下半身をむき出し始める。奈央が祈るように瞳を固く閉じる。奈央の白い大腿をつかみショーツを引きおろそうとする一志。

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