第47話
「レイプ‥か…」
裕也はその残虐な響きに、どこかめまいを覚えつつも、オウム返しする。
「…レイ‥プ…?」
瞳に怪しげな光をたたえ、一志はわざとゆっくりとした口調で、脳裏の計画を読み上げる。
「そう、トラウマを負わせて、晴れて俺らの仲間入り」
そう薄く笑う唇が冷徹だ。押し黙る裕也。
*****
そうして二人は報復を実行に移すべく、地元から随分離れたデパートでレイプグッズを買いそろえ始めた。まずは頭部をそっくり覆い隠すためのすっぽりかぶれる帽子、それに目元をより隠せるレンズの大きめなサングラス、仕上げに口元を隠す大きなバンダナだ。顔から後頭部にぐるり回して、それでも端が充分余るくらいの代物。こいつは三角に二つ折りしてから、口廻りに撒きつけるつもりだ。
より没個性化をはかるため、どれもこれもありふれたデザインのものばかりを選び出した。また脅し用のナイフは、店員に犯行を連想されづらいよう、あとから別の店で買うことにした。裕也と一志はそれらを二つずつ購入し、だけどレジへと支払いに向かったのは裕也だった。一志の金髪頭で店員に印象づいてしまうのを恐れたのだ。
心の中の動揺をひた隠しし、裕也は財布を開く。レジ員は無表情でそれらの品々をレジに通して行く。しかる後に身元をバレにくくするため、より多くのお客がごった返している店舗をチョイスし、それに加え、より客数の多い時間帯を見計らったのが正解だったようだ。裕也の背後にも多くの客がじれた様にレジ待ちをしている。
裕也は背後の客から購入物を覗かれないか気が気でなかった。けれど、自らの買い物を手早く済ませることにばかり意識を向ける客たちの中に、裕也の購入物からレイプ計画を連想する者などいるわけもなかった。
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