第46話
あまりの驚きぶりに、気まずくなって裕也が視線をそらす。
「お、おま…マジ!? マジ?? 女にイジめられて、不登校になったの???」
唖然としまくる一志に、バツが悪いのか裕也が無言でうなずく。
「えーーー……」
えーの次に
「うそだろーーー! ありえねーーー!!」
の言葉が明らかに続く一志の反応。
そしてみるからに脱力している一志の顔を覗き込む裕也。
「…呆れてる?」
「いやー…」
と半分小首をかしげ軽くひきながらも、腕組み何かを思いめぐらす一志。やがて口を一文字にうなずきながら、何とか自分を納得させた風な顔をすると、裕也の肩をたたきながら口を開く。
「まぁお前がヤワなのは、最初に会った時からわかってるし…」
そうして一志はにっかと笑いながら言う。
「俺はそんなお前でも、けっこーダチとしちゃあ好きな方だからさ、あんま気にしなくていいんじゃないの? まぁ、敵がジャイアンじゃなくて、よかったよ。倒せそうだし」
そう言いながら、うんうんと一志はうなずいた。
夜更け、二人で報復の具体的な計画を練ることにした。報復なんてろくなもんじゃないというのは、うすうす自分たちでも気づいている。それゆえに、一向に弾まぬ二人の会話。いや、むしろ二人とも貝のように口を閉じ、押し黙っている。宙を睨みつける一志。うつむき、絨毯のシミを見つめる裕也。静まり返った部屋。時計の秒針の音がやけに耳障りな気がする。
しかし二人ともいいようにしてヤられているのだ。モロモロを打開し、前に進むにはこんな手法しか、もはや見当たらぬのかもしれぬ。一つのケリ、落とし前というやつか。しばしの沈黙のあと、やおら一志が口を開く。
「けど女か…なら話は早いな…効果てきめんな復讐法…しかもトップクラスに効く…」
瞳を細める一志。それは裕也がいまだかつて見たこともないような冷酷な光を帯びている。そして一志は裕也の瞳を見返してつぶやく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます