1-8.ダチンコ
第45話
ダチという言葉に、ちょっとくすぐったさを感じながらも、裕也。
「まー…いいよ、僕は別に…」
と一志の提案を、あまり乗り気でなく断ってしまう。
「いいって、いいって、遠慮するなって! これでもギャングの端くれですから、お前をイジめたヤツをシメるくらいは出来ると思うぜ! とはいえ、ジャイアンみたいなのが出てきても困るけどな」
言葉尻にユーモアを交えるあたり、すっかりいつもの一志だ。ためらう裕也をよそに体でぐいぐい押してくる。
「どいつ? お前をイジめた主防犯って? 写真でもあるんならさ、出しな!」
そう言って一志は裕也に写真を催促する。
いまだためらいがちの裕也に、一志は人差し指のジェスチャーでもってやたらとせっつく。ようやく押入れの奥からアルバムを取り出す裕也。中学の卒業アルバムだ。裕也は左手でホコリを打ち払い、そうして二人の前でアルバムを展開する。
「ゼンブやるのはキツいし、やっぱ頭をやるのが一番てっとり早いだろ? それに何より効果的だしな」
独り言のようにつぶやく一志。やはり自称ギャングの端くれ、裕也よりはよっぽど好戦的だ。アルバムをめくる裕也。やがてページをめくる手が止まり、目的のページへとたどり着いたようだ。一志が
「どれどれ」
と覗き込む。裕也はおずおずとその中の一人を指差し、すると途端に頓狂な声を上げる一志。
「お…おんなーーーー!???」
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