第43話
「…手伝うよ、報復」
無謀かもしれぬ裕也の言葉。いや無謀だろう。あまりにも愚かとしか言えぬ言葉。
「…本当に…」
「…うん……」
一志一人で勝てぬものが、裕也がたった一人味方にくっついたくらいで、どうにかなるとは到底思えない。しかし裕也は返事する。それ以外に何が言えただろう、こんな時。
「俺ら二人だけだと、逆にヤラれちゃうかも…」
一志もそれはすっかり分かっていたのかもしれない。
「うん、わかってる…」
「…ギャングだから、あいつらケンカまじ、強いし…ハンパないし…」
「…うん…」
裕也の笑顔に唖然とする一志。
「やろうよ、やろ?」
「…へへへ……」
裕也の言葉に照れくさそうに一志が笑う。裕也はこうして一志と向き合ううち、一志のギャング仲間への報復が次第に実現可能なもののように思えてきた。当初は絶対無理だと思った。なのに何故こうして実際口に出してみると、出来なくないと思えてしまうのか? それはあくまでも錯覚かもしれない。だけど到底無謀なものだとは、次第に思えなくなってきたのも事実だ。腰を上げながら裕也。
「じゃ僕、飲み物持ってくるから、一志、そこの服着てなよ」
先ほど一志のために用意した服をさし、裕也は部屋を出て行った。
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