1-5.裕也の知らない一志
第28話
「あいつちょー便利だね」
赤いTシャツやジャージーに身を纏った少年が数名たむろし、遠くにいる赤いTシャツの金髪少年を顎しゃくる。一志だ。
「馴れたもんだな」
「特殊アンテナでもあんじゃね?」
「ナンパ専門ギャングですか?」
三人の可愛めの女子と立ち話中の一志。それを遠くで見やる悪げな少年たちが一志の様子を中継している。
「はえーはえー、もう話つけて帰ってきた」
「どうやったら、あんなに女ひっかけられんのかね。教えてほしーよ」
指くわえな、赤い烏合の衆。少年たち。
「ってか、あいつがモテてんのって所詮、ツラだけだろ」
「ツラがいいだけマシだろ」
「なんだよ! 俺のツラにケチつけてんのかよ」
少年たちの間で、小競り合いが始まった。
「はぁー? てめーの顔コンプなんて知るかよ! てか、いちいちつっかかってくんじゃねーよ!」
「ち!」
*****
一志が息を切らし鷹山のもとへ現れる。
「鷹山さん、とりあえず三人なら連れて来れそうですけど。あと二人は待ってください。もうちょっとオレ街中ひっかけられそうな女探してきます」
鷹山と一志のやりとりを遠巻きに見ながらぼやきはじめるギャング。
「けど、女つったって、所詮幹部だけだもんな」
「俺らは指くわえて、ただ見てるだけ」
「だから早く手柄立てて幹部になりてーって。せめて幹部候補生なら使用済みが回ってくることもあるし」
「お前にゃ無理だろ」
「うっせ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます