第27話

二人が恐る恐る振り向くと、警官が怖い顔をして駆け寄ってくる。

「やべ! 逃げるぞ!」

いち早く危険を察知した一志が、裕也のシャツをひき合図する。一志の合図を引き金に二人は猛ダッシュする。背後を振り向かず、ただガムシャラに走り続ける二人。

「一志がヘンに遊んでるから!」

裕也が走りながら叫ぶ。

「だって、なかなかお前があけないのがいけないんだぞ!」

二人でお互いの落ち度をなじりあいながら逃げる逃げる。

「あけられないのわかってたくせに!」

「四の五の言うな! とにかく逃げるぞ! 走れ、走れ!

いやっほー! うりゃぁぁ!」

夜道を警官に追っかけらている二人。月明かりのもと、ひたすら追いかける一人と追いかけられる二人の姿が浮かびあがる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る