第22話

裕也が缶コーヒーを手にして先ほどの草むらに帰ってくると。一志はすっかり草むらで大口をあけ爆睡していた。一志があまりにもキモチよさげに爆睡しているので、無理に起こすのが可哀想になり、裕也は上着を脱ぎ、一志に掛け布団代わりに掛けてやる。

草むらに腰下ろす裕也。指先に当たる草が青々しい。そのいくつかをむしりとり鼻先に押し当てる裕也。目一杯吸い込むと、土と緑の入り混じった大地のにおいがする。

一志を振り返ると、いまだ爆睡している。キモチよさげ。裕也も一志を真似、草むらに寝転ぶ。途端に目の前一杯に広がる青空。空の上は思いのほか風が強いのか、薄い雲が右に右に流れていくのが見える。そんな中、時折、水鳥が遠く高く飛び去り、また舞い降り、単調なようでいてちっとも飽きのこない景色だ。


*****


「おい! …おい! 起きろ!」

と一志の声。

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