1-4.二人の悠久は続くのか?

第20話

「ふぁぁああぁーあ!」

河川敷近く。歩きながら大口であくびを一発かます一志。呆れ顔の裕也。

「一志、何度あくびしたら気が済むの? いい加減にしないと顎が外れるよ」

裕也が言い終えるまもなく一志はもう次のあくびをしている。

「だって眠すぎて。最悪だ。精神安定剤だかなんだか知らないけど、今日はことさら眠くて何も出来ない。薬なんかまともに飲むんじゃなかった」

睡魔で篭りきった声で嘆く一志に裕也が言う。

「今日は、酒と薬のハーフアンドハーフじゃないの?」

「うっかり魔が差しました」

そう言ってうなだれる一志。足元がおぼつかなくなってきた。歩きながら睡魔に襲われ、管を巻く一志。

「だからぁ、バイトが続かないんだよぉぉぉ…前なんかトイレの便器磨いてる時に睡魔が襲って便器に顔面突っ込みそうになって、首になったしぃぃ。酒飲めば昼真っから酒の臭いをさせるって言われるしぃぃぃ!」

両手をだらしなくたらし、一志はねぼけ声で管を巻き続ける。それを苦笑いで見やる裕也。

「こないだなんかぁぁぁ、みんなが目を離した隙にいつも俺がうつらうつらしてるって、ちくりやがったやつがいた!」

腕を目にあて、泣きまねをしながら一志。

「ううう、この世はハンデ者に優しくない作りになっているぅぅ。だから、俺っちが裏家業に手を染めなきゃならなくなるんだぁ、ううう」

こないだと言っていることが違うやと裕也が笑う。一志は眠気を追い払うべく両手を空に突き上げる。

「景色も悪いよー、のどかすぎー!」

そう叫びながらも、またもあくびをする一志。そうしてふらふらと河川敷に吸い寄せられてゆく。青々しい草むらをうつろなまなざしで見下ろし、つぶやく一志。

「草をふかふかの布団代わりにしてここで寝ていい? だめって言ってももう寝るから」

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