第18話

最後の炭酸の一滴まで綺麗に草に撒ききると一志は裕也に笑う。苦い笑い。雑草へのプチ拷問か? はたまた甘い甘いごちそうなる水やりか? やがて一志は鼻で一息自嘲的な笑みをかますと、語調が突然からっと明るくなる。

「まぁー、ただそういうボランティア精神を持ちつつも、高値で間抜きしちゃう俺は確かに悪党だと思う。そんな客の弱みに付け込み半々、同類愛半々」

一志は言葉仕上げにペットボトルをゴミ箱に向かって放り、あっさりとホールインワンする。

「…一志…」

一志の不敵な笑みも、その背景を聞いた後では空元気に見えてくる。しかし、一志はその一枚上手を行く。

「っていうのが、俺の手だけどねぇ」

一志のにやにやとした笑み。すっかり裕也を手玉にとったことにご満悦だ。

「手ぇ~~!!!」

「うそ、まじ!」

裕也の剣幕にあわてて言い直す一志。詰め寄る裕也。

「どっちなの????」

「マジ半々、手ぇ半々かしら? キャー」

ガードレールから跳ね降り、五、六歩裕也から駆け去る一志。そうしてくるり裕也を振り返ると

「飲まないの?」

裕也の手の中の缶コーヒーを指差し一志は話をそらす。

「うちに帰って飲む」

カバンに缶コーヒーをしまい込む裕也。

「ちぇ! 折角おごってやったのに」

二人は歩き出す。一志はタバコをふかしだした。そうして数度ふかした後、一志がぼやく。

「あーやっぱ。タバコ吸わなきゃよかったー。携帯灰皿忘れてた」

「空き缶欲しい? 灰皿作ってあげようか?」

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