第14話
「一志!!」
「じょーだんだよ」
そう言って一志は裕也の肩を二度叩く。
「俺が一人で捕まるよ。こいつこの場にいただけで本当に関係ないんですって。泣きじゃくりながら土下座して尋問中の警官のズボンの裾にすがりつくから」
「余計に怪しいよ!」
「あー、俺って友情にあつーい! 裕也、お前の友情も信じているよ!」
数なき友は裏切りづらい。それがたとえどんな悪友でも。全てを分かった上で、裕也に付け込む一志の言い草にいたたまれなくなった裕也が立ち上がる。
「外で待ってる」
「おろ?」
薬の売買をそこそこに切り上げ、悪い痕跡を消しきったパソコンを放り裕也を追いかける一志。ネットカフェから出てすぐの道路わき。人通りは見当たらない。
「ゆーやぁ、そー怒るなよぉ」
やっぱり一志はいっこうに悪びれない。友情にあまったれた、人たらし声を出す。しかし作業を早々に切り上げるところを見ると、裕也が大事らしい。裕也は一人へしゃげたようにうなだれている。黒い前髪が両目を覆う。ぽつりつぶやく。
「怒ってるというか、不安なんだよ。怖いんだよ。こんなことしてて、いいのかなって。だってカンペキ悪いことじゃん」
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