第12話
怪しげな空気を機敏に察知した裕也が思わず叫ぶ。
「おちごと~! 働かざるもの食うべからずっしょ?」
ちっとも悪びれない様子で、一志は手際よくプロクシーを通す作業を繰り返し、己のネットの接続のセキュリティーをあげていく。一志に操られるパソコンが秘匿による怪しさを増し、みるみるおかしげな接続回線が出来あがっていく。
「ちょちょちょ!!!!」
行動の不審さに、必死に一志の作業を停止させようと叫ぶ裕也。全てのプロクシーを刺し終え、きりがいいところで裕也を振り返り「なぁに?」と一志、不敵な笑みを浮かべる。
その不敵な笑みに裕也が更なる危機を感じ、再び叫ぶ。大声で。
「なぁにって、ふご!」
最後まで叫びきる間もなく、裕也の口は一志の手でふさがれる。
「さわぐなよ。いくら個室ったってそんなに騒いだら人が集まって来ちゃうだろ?」
と一志。二人は小声になる。
「けど、それ……」
「だからー、僕チンのお仕事つっているっしょ? 知ってるじゃん! いつも見てるっしょ!」
しれっとした一志の言葉に裕也は眉をひそめ、口をゆがませる。
「だから、ここ来たの? 身分証のいらない……」
「ご名答! 足がつきづらいからねぇ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます