第12話

怪しげな空気を機敏に察知した裕也が思わず叫ぶ。

「おちごと~! 働かざるもの食うべからずっしょ?」

ちっとも悪びれない様子で、一志は手際よくプロクシーを通す作業を繰り返し、己のネットの接続のセキュリティーをあげていく。一志に操られるパソコンが秘匿による怪しさを増し、みるみるおかしげな接続回線が出来あがっていく。

「ちょちょちょ!!!!」

行動の不審さに、必死に一志の作業を停止させようと叫ぶ裕也。全てのプロクシーを刺し終え、きりがいいところで裕也を振り返り「なぁに?」と一志、不敵な笑みを浮かべる。

その不敵な笑みに裕也が更なる危機を感じ、再び叫ぶ。大声で。

「なぁにって、ふご!」

最後まで叫びきる間もなく、裕也の口は一志の手でふさがれる。

「さわぐなよ。いくら個室ったってそんなに騒いだら人が集まって来ちゃうだろ?」

と一志。二人は小声になる。

「けど、それ……」

「だからー、僕チンのお仕事つっているっしょ? 知ってるじゃん! いつも見てるっしょ!」

しれっとした一志の言葉に裕也は眉をひそめ、口をゆがませる。

「だから、ここ来たの? 身分証のいらない……」

「ご名答! 足がつきづらいからねぇ!」

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