第9話
一志は唖然とする裕也を尻目に、半欠けとなった錠剤を元の銀ケースにしまいこむ。
「お前もやってくれりゃ、もっと薬貯まるピッチあがるのにさー。安く買うよ!」
「もーいいよ」
ため息をつきつつ、自らの薬をごくごくまっとうに水で飲んだ裕也に、片手で額を押さえあえぐように言う一志。
「あーほら、頭のてっぺんに気持ちいいの来たぁ~。あ~~う~!」
「お酒が回ってるだけでしょ?」
冷ややかな裕也。突き放した目線。
「相乗相乗! アルコールは薬と似たような効果あるから、足りない分の補填。ねぇ、ところでいちいちつっかかってくんねぇ! あれだねぇ、裕也くんはちょい生真面目すぎるね。みんなこんなもんっしょ! アバウトアバウト」
アルコールの回りきったにやけ顔で裕也の右肩に手をのせてくる一志。吐く息がもう既に酒臭い。その一志の腕を払いのけながら向き直る裕也。そうして一志に必死に言い聞かせる。
「先生は、アルコールはセロトニンだけじゃなくって、ドーパミンも出ちゃうからダメだって言ってたよ。効き目のバランスが崩れて、いっつもいっつも安定した効果が得られないし、中毒になるし、お酒と薬は全然違うって。今はたまたまうまくいってるけど、わかんないよ!」
「いーのいーの、オレがよければ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます