第7話

裕也の誹謗など痛くも痒くもないと言ったそぶりで一志は再び薬の山をいじり始める。

「いーんだよ、医者も薬出しゃ出すだけ、儲かるシステムになってんだし。むしろ、名演技と言って! オレ将来役者になれるかもなー。自分で言うのもなんだけど、けっこー男前だしぃ」

「言ってろ! けど、バレたらヤバくない?」

雑誌を脇に置き、身を乗り出しながら裕也。そんな裕也を振り向き、一志が一喝する。

「バレたら、裕也、お前も同罪だ! 知ってて黙ってる! おもいっきり片棒担いでる!」

「やめてよー!」

一志の言葉に思わず悲鳴する裕也。だがすぐ我に返ると携帯の時計を見て立ち上がる。

「おっとそろそろ時間だ、一志のバカにつきあってらんない、薬飲まなきゃ」

そうして、キッチンの流しまで行くと裕也がグラスを片手に一志に言う。

「水道の水貰うよー!」

「おーう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る