第3話

面白くなさげに山下が舌打ちする。背後で軽く顔を見合わせながら苦笑いしている、守山と中田。同じく不良と呼ぶに似つかわしい改造制服を身にまとい、毛染めした毛先を今風にアレンジしている。

「おい、てめぇ、ズボン脱げよ!」

裕也の胸倉をつかみながら、須藤が有無を言わせぬ圧力で押し切る。須藤の腕から胸元が開放されると同時に、裕也はおずおずと震えながら学生服のズボンを下ろす。

ズボンを脱ぎ捨てると同時にあらわになったのは、青アザだらけの両足。古く薄くなった青アザについ今しがたできたばかりの青アザもある。状況から言ってもこの四人につけられたアザであることに相違ない。

「パンツもだ」

須藤は顎を持ち上げ冷ややかに裕也を見下ろすように言い放つ。痴呆のよう口を開けっぴろげ。

「フルチンで土下座しろ」


須藤の言葉に思わず噴き出す山下。また肩を揺らしながら笑い、顔を何度も見合わせる守山と中田。

「やだよ!」

初めて発せられた裕也の言葉。必死の抵抗だ。青ざめつつも、学欄の上着で白いブリーフを隠す。

「やだ、じゃねーよ! おい、こいつを脱がせ!」

須藤の指示に従い、山下が背中に回り裕也を両腕ではがいじめる。あまりにも裕也が抵抗するので、トイレのタイルに無理やりへたりながらも、それでも力で必死にねじ伏せようとする。両足をばたつかせ難を逃れようとする裕也の両足を今度は守山と中田で必死に押さえる。

「トイレでボーイのストリップショー」

中田が笑いながら裕也のブリーフをずらしてゆく。トイレの壁に背もたれ、満足げに笑いながら腕組み、羽交い絞められている裕也を一人見下ろす須藤。

「フルチンだー! ちっちぇー!」

「そうかお前もどっこいだと思うけど」

中田の声に、すかさず守山が突っ込むも、

「った」

すぐさま中田が守山の腕を殴る。もはや抵抗する気も失せ、山下に両肩を抱え込まれるまま、うなだれている裕也の下半身を眺めながら再び中田が突っ込む。

「んーまだまだ成長過程だなぁ」

「そうか? お前もどっこいだと思うけど」

またも守山の横槍「った」すぐさま中田の暴力が守山の背中に飛ぶ。

「けど毛は意外と剛毛だぞ」

守山の後フォローにすぐさま乗ってくる中田。

「毛抜きで抜くと痛面白くね? ライターであぶって更なるチリ毛化するとか? 新たなプチ拷問の開発だ」

「それナーイス!」

散々盛り上がる二人に

「見えねーよ」

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