7.美鈴

第16話

美鈴は学校から帰って来て先に帰って夕食を作っている父に声かける。


「お父さん、明日は私の誕生日。ちゃんとケーキを用意してね! プレゼントもよ!」


「はいはい!」


美鈴の言葉に父、椎野は苦笑いする。


翌朝。


「パパー! ハッピバースデー美鈴よ!」


父の背中をどーんと両腕で押す美鈴。


「ケーキはある?」


「頼んでる」


そこでふっと父の表情が暗いのを見つけ美鈴が怪訝そうな顔をする。


「どうしたの? お父さん、深刻そうな顔をして」


「別に! ハンカチアイロンしているから持って行きなさい」


「はーい」


美鈴はいつもの朝の儀式を終えた。そうして、就学を終え帰宅。美鈴が食卓のケーキの箱にわくわくしながらたたずんでいたら、父が美鈴を抱きしめる。


思わぬ暴挙に、ぎょっとした美鈴逃げ出そうとするもがっちりと抱きしめられる。


「この年まで待っていた。もうお前を抱きしめていい年代にまで育てた」

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