4.パラリンピック2

第10話

涼花はカウンセラーの新庄を心の支えに、トレーニングに励み、100m走で15秒を弾き出せるようになっていた。なかなか、パラリンピックの出場者になるまでの記録は出せないけれど。新庄が涼花の肩のタオルを取り除き、肩をもむ。


「行け!涼花君」


「はい!」


涼花は100m走の訓練中だ。義足でがんがんに走り、はじき出した数字は何と13秒。涼花はそのまま義足のまま飛び跳ねる。新庄も大手を振って喜ぶ。


その日の夕食。新庄と涼花が一緒に町はずれのレストランで夕食を取っている。涼花は新庄のフォークを持つ手に自らの手を添え告げる。


「新庄さん。好きです。恋人になってください。いつも支えられて、私は本当に幸せです」


そう告げる。新庄は一瞬驚いた顔をするが、すぐに曇った顔をする。


「僕は妻帯者だよ」


「え?」


「ごめん、誤解させて。僕はあくまでもカウンセラーだから」


涼花は曇った面持ちでご飯を食べた。二人ともご飯を食べた。その後、少しワインを入れた二人。新庄の胸に抱き着く涼花。


「それでも好きなんです。大好きなんです。いつも支えてくれてありがとうございます」

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