第3話
暗い面持ちの母。
「ニュースで流れたから」
母は悲しそうに告げる。
「私、死ぬ!」
舌を噛もうとする涼花。絶叫して、母が医師を呼ぶブザーを鳴らす。すると舌を噛まないようにと口にさらなる拘束衣をつけられた。
そうしてその後、カウンセラーとの面談。
「どうして、君は死のうとするの?」
はっきりと理由が理解できていてもカウンセラーは改めて問う。涼花を救うためだ。口の拘束衣を取り払われた涼花が、せきを切ったように叫ぶ。
「私、かたわでしょう! 気持ち悪くないですか? 片足がないのって」
そこまで叫びながら涼花は涙を流す。嗚咽にまみれながら、言葉を続ける。
「私、アイドルだったんです!ファンにこんな姿見られたくない! 年を取って、劣化って言われてもつらいんですよ。それなのに、片足がない障害者なんですよ! 死にます!」
そう絶叫して、涼花は舌を噛もうとする。再び涼花は取り押さえられ、口に拘束衣をねじつけられる。そうして、やはりベッドに拘束する看護師たち。拘束下でも必死にもがいている涼花はカウンセラーの言葉を聞く。
「君は、今、拘束されてつらいだろうけど、君の考えが改まるまでは、この拘束はとかないよ」
カウンセラーはまだ言葉を続ける。
「だけど、本当は君が死にたくなる気持ちは分からないでもない。ふつーは絶望するよ。あ、今の言葉は聞かなかったことしてくれ」
立ち去るカウンセラーの足音。涼花はこの言葉を聞き、自殺をしようとする自分が正しいことを悟る。
(私、アイドルだったもんね!ミニスカートから伸びる、2本の端正な足が自慢だった。それでキックしたり、ジャンプするダンスが得意だった。あたりまえよね? 私、死ぬの)
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