第9話

その様子に気づいて医者は言葉を発した。




「君達ぃ~。付き合ってるんだろう?」




「「ええ、まぁ」」((つい、さっきまで))




発する言葉のみ成らず、心の中の言葉まで合唱してしまう二人。すると医者はにっこり笑って言葉を続けた。




「だったら、好都合だ。これをあげるから、接着部分の周辺に塗り込みなさい。2、3日もすれば取れると思うから」




そう言うと、医者はがま油の様な物をこちらによこした。




「いや、良かった良かった。丁度連休で。いや、君たち、本当についてるよ」




医者の言葉に嫌そうに顔を見合わせる二人。




「いやぁ、実は、僕も今日から連休でね、これからウチの坊主と一緒に遊園地に行かなきゃならないんだ」




嬉しそうに言葉を続ける医者。




「ははは。まぁ、君たちも仲良く寄り添って、楽しくやんなさい」




納得行かない笑顔の医者に見送られながら、二人は何とも言えない面もちで病院を後にした。

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