第6話
君恵の姿が見えなくなって、清貴が早苗に言った。
「よくやるぜ。俺の足を思いっきり踏みつけてまで付く嘘かね。どーせ、後で分かる事なのにさ」
「悪かったわよ」
恨めしそうに言う清貴に、早苗がふてくされて渋々謝る。
「全然、気持ちがこもって無い」
「むっ。だけど、この世の何処に肩を組んで歩く、赤の他人が居るって言うのよ。私をアバズレにするつもり? あー、もう最悪! あの人、有ること無いこと尾鰭付けてしゃべりまくるのよ~」
「格好の餌食だな」
頭を抱える早苗を見て、愉快そうに清貴が言った。他人の不幸は密の味。『別れ間際の恋人の不幸は密の味』とまで、清貴が思ったかどうかは定かではない。
「誰のセイでこんな事に成ったと思ってるのよ!」
「さぁ、何にしろ、この近所にある皮膚科の病院に行こうって言いだしたのは、君の方だぜ」
しれっとした態度で答える清貴に半ばキレかかる早苗。声がだんだん大きくなる。
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