第21話

「あはははは! 信也君っておもしろーい!」




ギャルの甲高い声。ちょっと耳障りな感もある。




(別に面白いこと言ってないけど、テンション高いねぇ!)




更に思うも信也はそんなことはおくびにも出さず、ますますにっこりとギャルに笑い返す。初の対面にひとしきりはしゃいだ後、ギャルがちょっとだけためらいがちに言う。




「私はどう? 会ってちょっとがっかりした? 写メがんばっちゃったから」




そうして、メッシュの毛先をいじりながら、上目遣いに小首をかしげて見せる。つけまつげの上に何度も重ねづけしたマスカラたっぷりの両目をしばたかせる。アイラインは極太だ。めいっぱいのフルメイク。間髪おかずに信也。




「可愛いよ」




そう微塵もためらうことなく言ってのける。




(女を肝要に褒めるは、ナンパ師の基本ナリ)




「やだー、もーう、褒め殺しー!」




信也の切り替えしと同時に頬に手をあて、照れまくりながら、信也の背中をバシバシ叩く。




(テンションたけーー!)




そのアグレッシブな迫力にややもすれば気圧されながら信也、少々腰がひけぎみだ。スキンシップのやたらめったら多い女である。




「そんなにルックス気に入って貰えたんでしたら、ほんじゃまー、早速ラブホにでも行きますかぁ!」




そう言いながら、信也は冗談めかし慣れた手つきでギャルの肩に腕を回す。




「行く行くー!」

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