第14話

しょうこも負けてない。




そう言うとにっこりと信也に向い微笑みかけてくる。しごく聞き慣れた女の名前に、思わずゴホっと咳き込みそうになる信也。




しょうこは、信也が軽いネットナンパ師であることをそっくり見抜いているかのようだ。随分と棚上げした自分に、バツが悪そうに信也。




「まーオレも、そう堅い方でもないけども」




少しだけ間を置き、しょうこ。




「でも、一つ言い訳させてもらえれば、ケツが軽いっていうのとは、僕らは違うよ」




信也に食べさせるためか、フルーツ盛りから取り分けた季節外れのスイカの種を丁寧にフォークでほじくりながら、しょうこが嘯く。付けまつげで幾分かさ増しした長いまつげを伏せ。




「僕らは特殊な人間だから、受け入れてくれる人が本当に数限られているんだ。だから、受け入れてくれる人とは、ツーカーで簡単に寝ちゃうところもあるかもしれない。でないと、出会えないから」




そこまで言うと、しょうこは息をつく。赤い果実から抜き取られたスイカの種が灰皿にたまる。




「だけど、もしも僕がこんなでなかったら、僕も信也さんのように思ったかもしれない」




しょうこはそこまで言い終えると、すっかりと種を取り払われ、


ぐずぐずとなったスイカを一欠けフォークに突きさし、軽いしなとともに、信也の口元にまで運んでくる。




「食べる?」

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