第12話

みるからに男臭いオカマたち、そしてねちっこい独自の空気に毒され、一瞬少年が愛らしい天使に見えたが、それは一時の気の迷いだろう。




促されるままに席に着き、とまどう信也。




「僕のおごりですから。好きなの頼んでください」




そう言って少年、もといしょうこはメニュー表を手渡してくる。




やがて目の前に整然と並ぶお酒とつまみ、小さなフルーツ盛り。


それをつまみながら、信也はしょうこを見つめる。そして、やおら口を開く。




「なんで最初に男装して来た?」




信也は問う。男装という表現は正しくなかったかもしれない。だが、信也は構わず言葉を続ける。




「だって、こんなに可愛かったら、お前が男だって、オレ、多分ゼンゼン分かんなかったと思うし。いくらでもごまかせたと思う。なんで自分の弱点、そんなにあっさり他人にさらしちゃうの?」




しょうこは笑う。そして語り始める。

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