第10話

少年の化け具合と、世の女の化粧による化け具合を思いつつ、まじまじ食い入るように少女の姿様を見つめる信也。奇異をはらんだ視線に慣れているのか、平然と微笑む少年。




しかし、よくよく目を凝らして見ると、節々が太かったり、喉仏が突き出ていたりもする。あごひげは毛抜きで抜いているらしく、ちっとも目立たなかった。




ただただ、ぶしつけに自らを見つめる信也の腕を、少年が引く。ふと鼻先に香るキツイ香水。不自然に甘ったるい。




「僕がおごりますから、行きましょう」




そう微笑むと、少年はいざなう様にして、街中をさすらい、とあるオカマ倶楽部へと信也を引き入れて行った。繁華街の隅、隠微にゴージャスな扉を開きながら、少年が信也を振り向く。




「ここが、僕のホームグラウンドです」

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