第8話

信也がメールを送り終え、再び冷めたコーヒーをすすろうとした時だった。ふと誰かの視線を感じ、前を見やる。




すると、信也のテーブル向かいに一人の少女が立っていた。ミニスカートにブーツ。丁寧にカールされた巻き髪。黒に近いこげ茶色が、清楚な雰囲気をかもし出している。




そうして、少女は信也の前に立ちはだかり、にっこりと微笑んでくる。




(こんなかわいい子、知り合いにいたっけか?)




と、少女の笑顔に戸惑う信也。




まじまじと大きな瞳で自分を見つめてくる少女に、態度に困り、バツの悪い薄ら笑いを浮かべ、コーヒーを飲む。信也が二口目をすすろうとした瞬間。少女が口を開く。意外とハスキーボイス。そして、少年のような声。




「僕です、信也さん」

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