第40話
「もーぅ、めぐりんのファン、やめちゃおっかなぁ。めげちゃいそうだよ。僕は、あ~あ」
折角、神様がくれた、ご褒美だったのに、ひたすらめぐりんを応援しつづけた僕にくれた、とびきりのご褒美だったのに。なぁんで、疑うかなぁ!
最後の最後、ぎりぎりまで、ずぅっと、めぐりんのこと信じてたのにさ! めぐりんの笑顔のフォトグラフを眺めつつ、心の内で自らを責め、ぼやく僕。小首をかしげ、独り言する。
「だってさ、よもや本物のめぐりんから、メールが来るとは思わないじゃない?」
フォトグラフを両手に天井を見上げる僕。坂口の言うことが正しいよ。そーだと思うよ、誰だってそう思っちゃうよ。偽物だって。ふつーに考えて、あるわけないじゃん!
けど、「あ~あ! あ~あ!」再び声をあげ、僕はたまらず叫ぶ。
脳裏に浮かぶめぐりんの言葉。例のテレビ番組での言葉。
『人間、すれ違いってあるんだなぁ~って思った』
めぐりんの言葉。ため息交じりだった、あの日のめぐりん。
「人間、すれ違いってあるんだなぁ~って思った」
めぐりんの口真似をする僕。そうして、もう一度繰り返す。わざと、たどたどしく舌をもつれさせながら発声する僕。
「ニンゲン、すれチガいってあるんだなぁ~ってオモった」
―すれ違い――
本当に、すれ違いってあるんだね。
(本当にすれ違いってあるんだよ、ねぇ、めぐりん)
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