第39話
下宿先のアパートに戻り、ボンヤリと見慣れた部屋の景色を眺めていると、フイに大学での坂口とのやりとりが脳裏に浮かび、ベッドに頭のてっぺんから倒れこむ僕。
そうして、うつぶせに寝転び、両手足をばたつかせる。やがて、両手のこぶしを握り、軽く半身を起こすと、坂口に向い叫ぶ。どーせこんなとこで叫んだって坂口にゃ、ちっとも届きゃしないのだが。
「遅い、遅い、遅せーよ! どーせもってくんなら、もっと早くもってこい! バカ! あーーー! くそ、あーーーーー!!!」
両手足をばたつかせたからといって何が変わるでもないが。意味不明な造語をやみくもに叫び散らしながら、両手足をめいっぱい、ばたつかせる僕。ベッドの上で頭を抱え、もんどりかえりごろごろと転がりまくる。
やがて、ささやかなるウサ晴らしにも飽き、僕は疲れ果て、だらりベットの脇から片腕をたらす。枕にうつぶせているせいか、顔面がすこぶる息苦しい。顔を横に向け息を吹き返す僕。
「ま、すんじゃったもんは、しょうがないし……」
(しょうがない? ほんとにぃ?)
と、もう一人の僕が意地悪く問いかけてくる。
「あーーーーーー!!!! もう!!!!」
身を起こすと頭をかきむしり、叫ぶ。そうして、でかいため息一つ。
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