第37話

それでも止まない坂口の頓狂な悲鳴。右手で頭をかきむしりながら僕は、坂口を見返し吐き出す。




「なんだよ、オレが悪いのかよ! オレのセイかよ! なんだよ、そのえーってのは」




「えーーーーーーーーーー!!」




責めるような、坂口の悲鳴に、ますます心の平静を奪われ、僕は両腕を何度も振り下ろし声を張り上げる。




「送っちまったもんは、しょーがねーだろ! えーえー言うなよ!」




「えーーーーーーーーーーー!!!!」




四度目の責めるような悲鳴を最後に、ようやく坂口がまともに口を開く。




「だって、お前……そんな、げーのうじんと友達になれる機会って、ちょっとないぜぇ……」




恨めしそうな坂口の言い草。ぴくりと僕のこめかみが動く。悲劇のヒーロのようやけに大げさに、憂いを唄う坂口。




「あー……もう、こんな機会は二度とめぐってこない、お前にも、オレにも一生。ああ、オレの人生はこれから一生灰色のまんまだ。なんの夢もロマンもない。お前の死ぬほどトンマな早まりでもって。ああ!」




散々な坂口の言い草に口を尖らせ、僕は突っ込む。




「お前は関係ないだろ!」




「大ありだよ、あー! めぐりん!」




祈るように両手を組み、あからさまに天を見上げる坂口。




「そんなに好きじゃないだろ! オレは好きだけど。お前はゼンゼン違うじゃん!」

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