第36話

衝撃の真実ともう随分と昔にしでかしてしまった自らのドアホウに僕がうつろに成っていると、坂口が僕の肩を揺さぶってくる。




「な、おい! オレにもめぐりん紹介してくれよ。な、メールにオレの名前、書いて書いて!」




そうして坂口は矢継ぎ早に僕に言う。




「芸能人の友達って、めちゃくちゃ自慢できんじゃん! なーおい、もったいぶらずにメールに書いてくれよぉ!」




僕とコントラスチックに今頃になって、能天気に浮かれる坂口のこの有様よ。時既に遅しとはこういうことを言うんですよと、そんな奴に、僕はちょっと意地悪く苦笑いしながら告げる。




「終わった」




「え?」




ほら、この坂口のきょとんとした顔。でも、お前以上に、ショックを受けているのは、この僕ですから。今更、あんな記事を寄越してきた坂口に恨みを込め、どこかあてつけ気味に僕は言い放つ。




「もうとっくの昔、引導渡しました。メール二度と寄越さないで下さいって。人をからかうのもいい加減にしてください。つって」




そうして仕上げに飛びっきりの作り笑い。勿論あてつけだ。




「えーーー!」




ショックを隠しきれない坂口のあげる奇声。今更ながらの坂口の態度に、僕はいい加減頭にきて言い返す。




「だって、お前がしつこく、偽物だって言ってたんじゃないか!」




「えーーーーーー!」

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