第35話
(……僕のサイトの告知のセイ?)
軽くめまい。そして軽い高揚。急激な感情の落差で、なんだか気分が悪い。目が回りそうだ。そんな僕をよそに、坂口はあいも変わらず興奮気味にまくし立てる。僕の気も知らずに、なんてのんきな奴だ。
「あれ、やっぱ本物だよ! だって、ゲリラライブ、マジで決行する気だったわけでしょ? そんなの本物しか知るわけねーじゃん!」
すっかり、はしゃぎきった坂口の顔。だけどすぐさま口端に指をやり、こんな風に言い出す。
「いや、まてよ、スタッフの可能性もあるけど…」
なんて矢先にもう覆し、再び興奮とともに叫ぶ。
「いやいやいや! そんな暇な奴いねーだろ? やっぱ、そーなんだよ、そーぜったい、そー! 本物だ、本物だよ!」
一人で問答し一人で納得しうかれきった坂口を半ば呆れ顔で見やる僕。こいつ何興奮してんだよ。僕があんなに何度も本物だって言ってたのに、信じなかったくせに。ニセモノつってたじゃん。そんな僕の不満のキモチなどお構いなしにここぞとばかりに両手ばなしで、はしゃぎ散らす坂口。瞳孔を見開き、声高に歌い上げるように叫ぶ。
「すげーー本物だよ! しんじられねーーー!! 本物のげーのーじんが、オレらにメールよこしてきてるーー!!」
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