七章:遭遇

第34話

月日は流れ、緑葉さざめく7月。青空のもと、緑の木の葉たちが小さくすりあい、吹き抜ける風の足跡をかろやかに残す。




大学――


一講義目が終わり、就業のベルが鳴ると同時に、坂口が待ちきれない様子で飛ぶように駆け寄ってきた。




「な! な、おい! この記事見たか?」




坂口はそう叫ぶと、いつものよう教科書を片付けようとする僕の目前に立ちはだかり、ちょっとばかり黄ばんだ小さな新聞記事の切抜きを、ややもすれば大仰に見せ付けてきた。




「めぐりん、ゲリラライブ! マジでやる気だったんだよ!」




坂口の言葉。僕はわが耳を疑い、坂口から記事をむしり取る。もう随分と古い生地。そうして小さな記事。写真すら入っていない。ざっと目を通す。




「めぐりんショック!」のタイトルで始まるその記事には、ファンサイトにゲリラライブの日時と場所の告知があったため、それを偶然発見した一巡査による報告で事態が発覚。前日、事前に警察からこっぴどく注意を受け、決行どころか、トラックに機材を積み込むまでもなく、完全不発で終わったとのこと。




「これには載ってないけど、日付もあってた!」




と坂口、頬をすっかり上気させ、嬉々としながら叫ぶ。

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