第32話
キーワードは、『メールで結構相談してた』『すれ違い』『なくしちゃった友達』だけど確信はない。その言葉の真意は、実際、めぐりん当人にしか分からない。
そうやって、しばし僕がフリーズしている間にも番組はどんどん進行し、やがてテロップとともに流れ出すエンディングの音楽。僕はリモコンでテレビの電源を落とした。
音の消えた世界、途端にピンと張り詰めた空気が広がる。無音の中、部屋のどこを見るでもなく、視線をさまよわせ、思案を巡らせる。だけど、いくら僕があれこれ思い巡らせども、真実が分かるアテもなく。
やがて、思考の全てを諦めた僕はのそのそと重い腰を上げる。そうして、やおら服を脱ぎ始めると、パジャマ代わりの着古したTシャツの襟首に頭を通し始める。頭がつっかえ伸びる襟口。今日は風呂はナシにしておこう。
ベッドにもぐりながら僕は思う。こんな日はとっとと寝てしまうに限る。薄暗い部屋の中、リフレインするめぐりんの言葉、話。意味深。リフレインする。
(いや、気のせいだろうな)
僕は右に寝返りを打ち、タオルケットをも一度かけなおす。
(――いやいやいや、気のせいに決まってる)
僕は目をつむり必死に眠ろうとする。
(めぐりんはアイドルだし、きっと芸能人仲間の誰かに悩みを相談してたんだよ。スタッフとかさ。めぐりんくらい人気者なら、きっと色んな人が相談に乗ってくれるのだろうな。そーだ、そうに決まっている)
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