第30話
逃げずに見よう。テレビ画面で司会者に話題を振られ、なかなか的確に受け答えをしているめぐりんを眺めつつ、随分バラエティトークうまくなったよなぁ! なんて思っていると、そういや、偽めぐりんがバラエティのトークで失敗して落ち込んでいたのを、必死になってメールで励ましたっけ、なんて思い出す。
あれも嘘か……さぞかし面白かったろうな、僕の真剣メールに。僕は頭を抱え込む。
「あーやっぱダメだ!情報収集できそうもない! サイトの更新は一ヶ月先に延ばそう!」
そう叫んで、チャンネルを変えようとする僕。ふいに画面がめぐりんのアップに切り替わった。僕の手が止まる。
「人間、すれ違いってあるんだなぁ~って思った」
めぐりんの言葉。ため息交じりの。
「意味深発言ですねぇ~恋人?」
「ううん、まさか、友達ですよ」
司会者の言葉に苦笑いのめぐりん。
「またまたー。とかなんとか言っちゃってぇ!」
下世話な方向にすぐ話を持って行こうとする司会者をめぐりんが軽く睨みつける。
「ほんと友達ですって! でも…」
そこまで言ってひとたび言葉を切ると、めぐりんは再び言葉を続ける。
「でも、折角仲良くなったんだけど、お互い何一つ悪くはないんだけど、だけど、人ってすれ違っちゃうことってあるんだなって思いました。つまんないすれ違いで、大事な友達なくしちゃいました。結構、メールでイロイロ相談に乗ってもらったりしてたんですけどねぇ……」
めぐりんがそこまで言うと、
「やっぱ、恋人でしょ!」
と身を乗り出す司会者。めぐりんは首を小さく振りながら苦笑いする。
「違いますって、もーすぐ、みんなそっちの方向に持って行こうとするんだから、だーから、こういう話あんまりしたくないんですよねぇ。でも、恋人は何気に募集中ですけどね!」
めぐりんのシメの言葉に観覧席から笑い声が立つ。
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