第25話

チック、タック、チック、タック。




爆弾付きのメールがオンラインのパイプを偽めぐりんに向け高速で届いてゆくサマを僕が脳裏でイメージしていると、意外なことに、すぐさま偽めぐりんからの返信が届く。




あまりにも俊敏。全てを見透かす僕に、動揺した? ためらいなくメールを開く。僕は冷めた目でディスプレイを見下ろす。偽めぐりんのかくのごとき言い草。




『ごめんなさい。スケジュールが押してて、まだ公で公開してない情報だから、ゆうずう効くかな? って。そんなつもりはありませんでした。CDは、やっと昨日全曲録り終えました。粘ったかいあって、いいのが出来ました。ジャケット撮影は急遽、海外になりました。みんなで力入れて作ったので、曲のイメージを大事にしたいっていうか、負けないくらいの世界観をビジュアルでも表現したいってみんなですっかり盛り上がっちゃって。発売は多分、4ヶ月後の9月ごろになると思います』




マウスでメールをスクロールする。続く彼女の言葉にぴくり僕のこめかみが動く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る