第22話
カレンダーに一つ一つマジックでチェックしてゆく。1日が過ぎ、2日が過ぎ、そうして、3日、4日……とうとう、めぐりんのゲリラライブの日。
その日きっとニュースで盛大に放送されるハズだ。”めぐりんがゲリラライブを決行! ファンは大騒ぎ! 警察も出動! ”なんてさ。それとも、”めぐりん、ゲリラライブで街中は大渋滞”かな? ”3時間。交通不能! めぐりんとそのスタッフ警察に大おこられ! ”なんてさ。
絶対、放映される。必ず、必ず。
僕は大学を休み、テレビにかじりついていた。トイレに行く間も惜しい。小腹がすけば、カップ麺をすする。ニュースの時間となると、リモコンをいじり、素早く各ニュースチャンネルをチェックする。早朝ニュース、お昼のワイドショー、夕方のニュース、夜のニュース。
何時になっても、何も起こらない。めぐりんの「め」の字も取り上げられない。ベッドに背中から倒れこむ僕。天井の雨漏りのシミが妙にしみったれている。認めたくない、認めたくはないが、僕は正真正銘の大バカやろうだったのだ。坂口は正しかった。いや、僕だって頭の片隅では分かっていたさ。
だけど、信じたいあまりに頭の中のすべてを捻じ曲げていた。未だかつてこんなマヌケな若者がいただろうか? 交差される腕の中、僕は泣いていた。
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