第21話

虚構、匿名、うずまく嘘と溢れかえる嘘つきたちのるつぼ。疑い出すとキリが無い。というか、こんな状況を信じる僕の方がどうかしているのかもしれぬ。僕は軽くめまいを催しながらも、めぐりんにメールを打ち始めた。




『めぐりんの写真が欲しいな。めぐりんの携帯って写メ送れるんでしょ? 撮って送ってよ。僕、待ち受けにしたいからさ。それに、サイトに載せたら他のみんなも喜ぶと思うし byシオン』




――返事は返ってこない。1日、2日、3日、こんなに返信に間があいたことなんてない。それが僕をますます不安にさせる。そうして、4日目、ようやく返信が返ってきたかと思ったら、めぐりんの返事はかのようなものだった。




『ごめん、どうかな? いいのかな? って思って、一応、事務所側にたずねたんだけど、ごめん。私の写真はビジネス用だから、だめだって。今度また、ファンクラブの会員あてに、写真を配布するから、その時で我慢してくれる? byめぐ』




僕の脳裏の不安がますます膨らみを帯びる。すべてが虚構だったのか? 僕はまんまと騙されおおせていたのか? かくも長い間。めぐりんを励まし、めぐりんに嬉々として返信し。




日々トキメキ一喜一憂していた、僕はただのマヌケの大バカやろう?だけど信じたい。僕は祈るように約束のゲリラライブの非を待ち続けた。あと一週間。それで真実が分かるから。

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