第7話

翌日、大学にて――僕が講義を終えて、大あくびをしていると一個前の席に座っていた坂口が僕を振り返り一言。




「まーた! めぐりんのサイト作って寝不足ですか?」




と、ちょっぴりイヤミったらしい言い草だ。一年の時からの友達なんだけど、アイドルオタクの僕をどこかバカにしてんだよね。そいつは言葉の端々に感じる。話してる時の表情とかさ。でも、腐れ縁ってやつかな? 同郷だったのもあって、大学で一番最初にできた




友達で、なんだかんだと一緒にいる時間は長い。




ところで、坂口の指摘は、普段なら当たらずとも遠からずだが、けど、今日はちょっぴり事情が違った。ミルクのメール、あのメールの真意を思うと夜も眠れぬ僕だったのだが、そんなことを坂口が知る由もなく。




(当然だ、僕だって未だ信じられないのに)




坂口のこんな反応も無理らしからぬのかな? と思ってみたり。そうして、僕は坂口を見て、一瞬口を開きそうになるも、喉元まで出かかる言葉を途中でひっこめ、教科書を両手で重ねる。




「や……まぁ、いいや」




「なんだよー! 最後まで話せよ! 途中まで話してやめるなんて、すっげー気になるじゃんか!」




がぜん身を乗り出し坂口が突っ込んでくる。そのあまりの迫力に気圧され、僕は、昨夜の出来事を話すことにした。




「…僕さ、めぐりんのサイト作ってるでしょ?」




「ああ、だからそれで寝不足なんだろ?」




こいつのダメなところは、すぐに話を決め付けてしまうところだなと思いつつも僕は言葉を続ける。




「あのサイトをきっかけにしてさ、めぐりんからメールが来たんだけど…」

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