第5話

そんなめぐりん応援生活の日々の中、僕のメールボックスに、一人の女の子からの電子メールが届いた。女の子からのメールとはこれまた珍しい。めぐりんは、かなりかわいいし、男心を抜群にくすぐるから、どっちかというと女受けはしないのにな? と当時ちょっと意外に思った記憶がある。




彼女はミルクというハンドルネームだった。いかにもかわいらしい女の子らしいハンドルネーム。かつ、彼女は妙に人懐こかった。メールが1回こっきりで終わらず、短文だけれど、なぜだかやけにマメにメールを寄越してくる。そんなにめぐりんが好きなんだ、女の子としてはめずらしいな、とも思った。




『シオンさんは、めぐりんが本当に好きなんですね』とか、




『めぐりんのどこが好きですか?』




『情報量がすごく豊富ですよね? いつも調べるの大変じゃないですか?』とか。




小中高と女の子の友達がろくすっぽいなかった僕としては、メールでの交流とはいえ、悪い気はしなかった。だから彼女のメールにも丁寧に答えた。かくして、携帯メールにパソコンメールを駆使して僕らはデイリーで親睦を深めて行った。




好きな芸能人、好きなスポーツ、好きな映画に食べ物。たった一つの濃いの共通の興味でもって友達の輪を広げる。それもネットの醍醐味だ。没頭も悪くない。




だけど、ミルクとのメール交換がひと月もしたころ彼女は奇妙なメールを送ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る