第19話

男のアパート。




アパートのコタツにもぐり冴子が言う。




「今日はどこに行く? 今度新しく開いた、水族館があるから、行こうか?」




男はうつむき言う。




「いや、今日は、どこにも出かけたくない」




「そう?」




無言でテレビを見ている男。




「まぁ、コタツに入ってぬくぬくするデートってのもありよね? こんな寒い日に無理に出かける必要ないっか?」




コタツ布団をいじりながら冴子は言う。




「うーんでも、先立つものが欲しい。何か足りないのよねぇ……」




冴子はコタツから立ち上がる。




「よし、私コンビニに行って何か買ってくる。何か欲しいものある? お菓子とか、ジュースとか、お酒とか、何が食べたい? あと、雑誌とか」




「じゃあ・・・」




と一瞬、男の口元がほころぶが、すぐに曇る。




「いや、君にまかせるよ。君がいいと思うものを買ってきて」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る