第8話
冴子は言葉を続ける。
「私はもう一生結婚もしないし、誰とも親しくはならないし、もう一人で生きてゆくのだとずっと心に決めていました」
冴子は裸体のまま男の脇に腰を下ろす。
「あなたが、あなたの体が効かないことを、負い目に思っているなら、逆に好都合だわ。だって、私も負い目があるから。そんなあなただから、私は大胆になれる」
女はふっと微笑む。
「キスは初めてですか?」
「はい」
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