第33話

「ありきたりで何が悪いの?」




私は首をふる、そうして、いつしか心から王子に訴える。だけど、王子は変わらない。




「キミは僕のことを好きなんでしょう? だったら、いいじゃない。このままでさ…似たようなもんだよ」




王子の言葉に激しくめまいを覚える私。




(違う…違う……私はこんな男は好きじゃない! やっぱり、ダメだ…こんな奴と居ると私もダメになる)




猛烈な焦りを覚える中、だけど、うっとりとするような悠久の時。二人でマンションの一室に居続けるせいか、どこか時間の感覚がおかしくなる。ここから時計が一向に見えないからかもしれない。無限な時。




もしかしたら、このままでも構わないかもしれない。うっかり愛してしまった男とずっとこのまま、この部屋で。ふと脳裏をよぎる。




でも、ダメよ、こんなのはイヤ! こんな生活がいつまでも続くとは思わない。私はもっと生きてる実感をつかみたい。好きな男とは、あれこれ出かけてデートだってしたいし。クリスマスには、ちょっと豪華なプレゼントだって欲しい。

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