五章:王子が管理人たるゆえん
第25話
以前、メールで会話していた際、話していた私の好みをしっかり覚えていてくれたようである。
そうして、気がつけば、私の体に毛布がかけてある。床にそのまま寝ていたセイで、全身がガタピシ痛むが、王子のかけてくれていた、毛布、それで寒くなかったのか? と分かる。
そうして、いつの間にか床暖房もたかれていたようだ。
床がじんわりと温まっている。
「食べにくいだろうから、手錠を前にしてやろう」
そう言って、王子は私の手錠をはめ直そうとしてくれる。
「なんなら、僕が食べさせてやろうか?」
そう王子は笑う、そうして、すぐに
「冗談だよ」
と付け加えた。
王子に手伝われ、身を起こした私。
きっと寝起きで髪がボサボサだろうと思っていたら、王子が2~3度私の頭をなでる。私の寝癖を整えてくれているのだと分かる。
うつむく私。とまどう。
この私の心境の変化は何だろう? 寝て起きたからだろうか? 眠りは人の心をリセットするのだろうか?
私はなぜだか、それも悪くないと思った。王子にたまごサンドを食べさせてもらう。悪くない。だけど、私はそれを口に出して言わない。
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